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エスキューブ知財ニュース2023年1月号をお届けします。
昨年1月より毎月発行して参りました「エスキューブメールマガジン」を、本年1月からは装いも新たに「エスキューブ知財ニュース」としてお届けします。
エスキューブ知財ニュースは、知財実務に直結する制度や改正法の情報に関する「今月のヘッドライン」と、医薬品分野のトピックに関する「医薬品知財情報アップデート」の二部構成にて毎月発行の予定です。なお、医薬品関連の審判決については「医薬品審判決情報」をご覧ください。
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[1] 今月のヘッドライン:国際出願手数料について
■国際出願関係手数料改定のお知らせ
■国際出願手数料請求“詐欺”に注意
[2] 医薬品知財情報アップデート
■知財高裁判決・エディロールカプセル特許訴訟、後発品メーカーが勝訴
■シンバイオ「トレアキシン」・後発品販売の東和とファイザーを提訴
■USPTO・ガン予防技術に関する出願の審査迅速化試行プログラムを発表
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国際出願時の手数料には、「国際出願手数料」、「送付手数料」、「調査手数料」の3つがありますが、このうち「国際出願手数料」が2023年1月1日に改定されました。「国際出願手数料」に関しては「オンライン出願した場合における減額」も“値上がり”しており、出願書類の枚数が30枚の場合、出願1件当たり3600円の増額となります。
また、国際予備審査請求をする場合の「取扱手数料」も若干の値上がりとなっています。
「国際出願手数料の改定」
「取扱手数料の改定」
中小・ベンチャー・大学等は、国際出願に関する手数料が”安くなる”制度があります。手数料の種類により適用される制度が異なります。
今回改定となる「国際出願手数料」「取扱手数料」は、国際出願促進の交付金支援制度の対象となります。 「 国際出願促進の交付金」は、手数料を支払った後に申請を行うことにより交付金が戻ります。 詳しくは特許庁ウェブサイト「国際出願促進交付金の交付申請手続」をご参照下さい。
また、「送付手数料」「調査手数料」は、軽減制度の対象となります。軽減は、手続き時に適用されます。詳しくは特許庁ウェブサイト「国際出願に係る手数料の軽減措置の申請手続」をご参照下さい。
▼参考:「国際出願関係手数料表」
https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/document/kokuryo/syutugan.pdf
米国特許商標庁(USPTO)類似の表記による詐欺については、当ウェブサイトでも注意喚起(2022年2月9日 注意喚起:特許料金の納付を要求する詐欺について)をさせて頂いているところですが、最近国際出願の出願人や代理人宛に国際事務局とは無関係の手数料の支払いを求める通知が海外から届いているようです。
国際出願関係手数料は、上記の「国際出願関係手数料表」の通りですので、このような「国際出願手数料請求“詐欺”」には十分ご注意ください。
特許庁と国際事務局(WIPO)のウェブサイトで注意喚起がされています。
▼特許庁ウェブサイト:【重要なお知らせ】WIPO国際事務局以外の者からの手数料請求書に御注意ください。https://www.jpo.go.jp/system/patent/pct/tesuryo/kokuryo.html
▼WIPOウェブサイト:ご注意ください:WIPO国際事務局以外の者からの手数料請求書についてhttps://www.wipo.int/pct/ja/warning/pct_warning.html
中外製薬株式会社(東京都中央区)が骨粗鬆症治療薬「エディロールカプセル」(エルデカルシトール)の特許権を侵害したとして、沢井製薬株式会社(大阪市淀川区)と日医工株式会社(富山県富山市)を相手に後発医薬品の製造販売の差し止めを求めた訴訟で、知財高裁は2022年12月13日、東京地裁(1審)の判決を支持し、中外製薬の控訴を棄却する判決を言い渡しました。
また、知財高裁は同日、本件特許権に対する特許無効審決を不服とする審決取消訴訟について、審決の取り消しを求めた中外製薬の請求を棄却する判決を言い渡しました。
中外製薬の同日付のプレスリリースによると、本訴訟は、2020年2月17日に沢井製薬および日医工が、中外製薬が販売するエディロールカプセルの後発医薬品の製造販売承認をそれぞれ取得したことを受けて、中外製薬が東京地裁に提訴していました。中外製薬は「当社は判決の内容を踏まえた上で、今後の対応を検討してまいります。」とコメントしました。
一方、勝訴した沢井製薬は「当社による本製品の製造販売の継続に何ら問題が生じることはございません。今後も、知的財産権を尊重したうえで、患者さんならびに医療関係者の方々が安心して本製品をご使用いただけるように取り組んでまいります。」とコメントし、また日医工は「当社は、今後も知的財産権の尊重とエルデカルシトールカプセル 0.5µg、0.75µg「日医工」の安定供給に努めつつ、ジェネリック医薬品の普及のため、患者様や医療関係者の皆様が安心してご使用いただけるよう取り組んでまいります」とコメントしました。
▼判決文はこちらをご覧ください。
・知財高裁:令和4(ネ)10065(特許権侵害差止)
・知財高裁:令和3(行ケ)10066(審決取消訴訟)
▼プレスリリースはこちらをご覧ください。
・中外製薬株式会社(chugai-pharm.co.jp)
・沢井製薬株式会社(sawai.co.jp)
・日医工株式会社(nichiiko.co.jp)
シンバイオ製薬株式会社(東京都港区)は、2022年12月16日付のニュースリリースで、同社製品トレアキシン®点滴静注液100mg/4mL(一般名:ベンダムスチン塩酸塩水和物、以下「トレアキシン®」)について、同社製品のライセンス元であるEagle Pharmaceuticals, Inc.(本社:米国ニュー ジャージー州、以下「Eagle社」)と共同で、同製品の後発医薬品の製造販売承認取得者である東和薬品株式会社(大阪府門真市)に対し、Eagle社が保有するベンダムスチン液剤に関する特許を侵害するとして、東京地方裁判所に特許権侵害に基づく後発医薬品の製造販売の差止及び損害賠償請求訴訟を提起したことを発表しました。
また同社は、同年12月26日付のニュースリリースで、ファイザー株式会社(東京都渋谷区)に対しても、同様に提訴したことを発表しました。
シンバイオ製薬は、2022年2月にトレアキシン®の後発医薬品の製造販売が承認されたことを受け、承認を受けた4社に対し、特許権の侵害の懸念について文書による通告をしていましたが、このうち東和薬品とファイザーは、後発品の販売を開始したため、シンバイオ製薬とEagle社が2社に対し提訴に踏み切りました。
▼ニュースリリースはこちらをご覧ください。
・「トレアキシン®」に関する特許権侵害訴訟の提起について-2022年12月16日
・「トレアキシン®」に関するファイザー株式会社に対する特許権侵害訴訟の提起について-2022年12月26日
2022年12月16日付のジェトロ・ニューヨーク事務所によると、USPTOはガンを予防する技術、ガン死亡率を下げる技術などに関する特許出願について、審査を迅速に行う試行プログラム(Cancer Moonshot Expedited Examination Pilot Program)を2023年2月1日より開始することを発表したと報じました。
新しいプログラムは、バイデン大統領が掲げた今後25年間でがん死亡率を少なくとも50%削減するという目標を支援するため、ガンとガン死亡率を予防するための幅広い技術の検討を促進し、2025年1月31日またはプログラムの対象案件が1,000件に達するいずれか早い日まで申請を受理するとしています。
▼ニュースリリースはこちらをご覧ください。
・https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2022/20221216.pdf
・USPTO announces Cancer Moonshot Expedited Examination Pilot Program | USPTO
・Fact Sheet: President Biden Reignites Cancer Moonshot to End Cancer as We Know It | The White House
・https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2022-12-09/pdf/2022-26776.pdf
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