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エスキューブ 知財ニュース 2023年3月号

エスキューブ知財ニュース2023年3月号をお届けします。

エスキューブ知財ニュースは、知財実務に直結する制度や改正法の情報に関する「今月のヘッドライン」と、医薬品分野のトピックに関する「医薬品知財情報アップデート」の二部構成にて毎月発行の予定です。なお、医薬品関連の審判決については「医薬品審判決情報」をご覧ください。

━━Contents━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

[1] 今月のヘッドライン:2023年4月より原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用が始まります。
■原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について

[2] 医薬品知財情報アップデート
■第一三共・USPTOがSeagen社の特許付与後レビューを再開
製薬協・政策提言2023を公表
全米商工会議所・2023年版「International IP Index」を公表
■2023年2月後発品承認情報

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[1] 今月のヘッドライン:2023年4月より原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用が始まります。


■原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について

2023年4月1日より、原出願の拒絶査定後、拒絶査定不服審判請求と同時された分割出願のうち、出願人又は代理人から申請がされた分割出願については、原出願の前置審査又は審判の結果が判明するまで分割出願の審査を中止する運用が始まります(特許法第54条第1項)。

本運用が開始されることにより、出願人にとって、原出願の拒絶査定不服審判の結果を踏まえて分割出願の対応を検討できることは、より効率的かつ効果的な出願戦略の構築につながると期待されます。

1.概要図

出典:原出願が審判係属中の分割出願に対する審査中止の運用について(特許庁)https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/general/bunkatu-shutugan_chushi.html

2.対象となる出願
2023年4月1日以降に審査請求がされた審査着手前の出願であって、以下の全要件を満たす分割出願が対象です。
(1)原出願の拒絶査定後に分割された分割出願であること
(2)原出願について拒絶査定不服審判請求がされており、原出願が前置審査又は拒絶査定不服審判に係属中であること
(3)原出願の前置審査又は審判の結果を待つことが便宜であるもの*1
*1 例えば請求項の記載が、具体的な発明特定事項を含まないことが明らかなものである場合には(3)の要件を満たさないものとして取扱われますが、その他の場合には(3)の要件を満たすものと取扱われます。

3.必要な手続
本運用の適用を申請する場合、出願人又は代理人は対象となる分割出願の審査請求日から起算して5開庁日以内に所定の手続を行なう必要があります。

特許庁において、申請に基づいて分割出願が本運用の適用対象となるか否かが判断された後、判断結果がメールにて通知されます。

本運用の適用対象となった場合、原出願において以下の(1)から(3)のいずれかがなされてから3カ月間、分割出願の審査が中止されます。
(1)前置審査において出願人に特許査定の謄本が送達される。
(2)拒絶査定不服審判において出願人に最初の審決*2の謄本が送達される。
(3)審判請求が取下や却下となる。
*2 審決取消訴訟が提起され、その結果として再開された査定不服審判における審決は含まれません。

上記の審査中止の期間が終了する場合、その旨がメールで通知されます。また、審査中止終了後は、上記のいずれかの契機から起算して通常の出願と同様の審査順番待ち期間を経て審査に着手されます。

▼詳しくは特許庁ウェブサイトをご覧ください。
https://www.jpo.go.jp/system/patent/shinsa/general/bunkatu-shutugan_chushi.html

[] 医薬品知財情報アップデート

■第一三共・USPTOがSeagen社の特許付与後レビューを再開

第一三共株式会社(東京都中央区)は、2月17日付のプレスリリースで、USPTO(米国特許商標庁)に請求していた米国Seagen社の特許10,808,039(以下「’039特許」)の有効性を審査する特許付与後レビュー(Post Grant Review、以下「PGR」)について、USPTOは同社の再審理請求を認め、PGRの再開を決定したと発表しました。

同社は、2020年12月23日にSeagen社の’039特許が無効であるとしてUSPTOにPGRの開始を請求し、USPTOは、2022年4月7日にPGRの開始を決定しましたが、同年7月15 日にSeagen社の再審理請求を認め、PGRの中止を決定していました。

第一三共は、「米国特許商標庁が当社の再審理請求を認め、PGRの再開を決定したことを評価しており、当社の知的財産を守るべく、今後、再開されたPGRの手続きに鋭意対応してまいります。」とコメントしました。

▼プレスリリースはこちらをご覧ください。
https://www.daiichisankyo.co.jp/files/news/pressrelease/pdf/202302/20230217_J.pdf

■製薬協・政策提言2023を公表

日本製薬工業協会は、2023年2月16日付のニュースリリースで、「製薬協・政策提言2023」を公表しました。

製薬協・政策提言2023によりますと、新興バイオ医薬品企業(EBP:Emerging Biopharma)が日本を開発に組み入れない要因の一つとして、特許期間中にも関わらず価格が下がる日本独自の薬価制度の問題があることが、製薬協にて関係するステークホルダーからのヒアリングにて示唆されています。

また、「薬事、知的財産関連施策等の推進」の一環として、医薬品アクセス等に係る知的財産に関する国際的課題への取り組みの推進の他、知的財産制度のハイレベル(臨床試験データ保護制度、特許期間延長制度、パテントリンケージ制度等)な国際調和への取り組みの推進が挙げられています。

▼ニュースリリースはこちらをご覧ください。
https://www.jpma.or.jp/news_room/release/news2023/jtrngf0000001e29-att/20230216_01.pdf

■全米商工会議所・2023年版「International IP Index」を公表

ジェトロ・ニューヨーク知財部の2月24日に記事によりますと、全米商工会議所グローバルイノベーション政策センター(GIPC)は 2月21日、世界各国の知財システムの強さを分析した2023年版「International IP Index」報告書を公表したとのことです。

日本の知財システム全体のランキングは、スコア91.26%で昨年同様の6位となりました。

報告書では国ごとに分析がなされ、日本については昨年同様に2019年と2020年の著作権法と意匠法の改正による継続的な保護強化などが強みの分野と評価されています。他方、弱みの分野としては、後発医薬品の製造販売承認に関する保護の不透明性や知財に関する税制優遇制度がない点が挙げられています。

全体的な分析としては、世界貿易機関(WTO)で行われているCOVID-19に関する知財の権利放棄(TRIPS ウェイバー)の議論など、医薬品の知財を弱める議論を懸念している一方で、18カ国はスコアが上昇し、地域レベルではアジア地域が他の地域と比較して平均スコアが最も上昇したとしています。

▼ニュースリリースはこちらをご覧ください。
https://www.uschamber.com/assets/documents/GIPC_IPIndex2023_FullReport_final.pdf
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Ipnews/us/2023/20230224.pdf

■2023年2月後発品承認情報

厚生労働省の通知「医療用後発医薬品として承認された医薬品について」によりますと、2月15日付で下記の後発医薬品が承認されました。
2023年2月15日承認の後発医薬品

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