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先発対後発両サイドの特許戦略に必要不可欠な知識や最近の話題をお届けする「医薬品特許戦略ブログ」を配信します。製薬関連企業の皆様はもちろん、アカデミアや投資家の皆様にも参考にしていただけるような、実践的なポイントをお届けしたいと思います。
パラグラフIV証明書により申請を行ったANDA申請者は、FDAからパラグラフIV証明書の受領書を受領してから20日以内に、NDA保持者及び特許権者に通知(Notice Letter)を行わなければならない(21 C.F.R. §314.95(a),21 U.S.C. §355(j)(2)(B))。
Notice Letterには、特許の有効性・非侵害について申請者の見解を裏付ける事実及び法的な根拠に関する詳細な陳述を含む必要がある。
パラグラフIV証明書で、特許が無効・権利行使不能であることを主張する場合は、無効であるか権利行使不能であると主張する請求項ごとに、その主張を裏付ける証拠の十分かつ詳細な説明が必要である。一方、非侵害を主張する場合は、請求項ごとに、非侵害と考える理由を説明する必要がある。
パラグラフIV証明書が、特許の非侵害を主張するものであり、かつANDA申請者が後に確認訴訟を起こすためには、Notice Letterに申請書類の開示の申出を添付する必要がある。
特許権者は、Notice Letterを受領したのち、45日以内にANDA申請者に対して特許権侵害訴訟を提起することができる。これをANDA訴訟またはハッチ・ワックスマン訴訟という。
訴訟が提起されると、ANDAの承認手続きが30ヶ月間停止される(30-month stay)。
そのため、NDA保持者及び特許権者(先発側)は30ヶ月の間後発医薬品が承認されないという利益を確保できる。
なお、ANDA申請者は、訴訟が提起された場合、提訴日から14日以内にFDAにその旨を書面により通知しなければならない。
訴訟は、特許無効に関するものも含めて、裁判所において裁判官により審理される。
訴訟開始後30ヶ月以内に特許無効または非侵害の決定がされた場合、または30ヶ月以内に結審しなかった場合は、30ヶ月後にANDAが承認される。特許権者が訴訟を提起しない場合、FDAはANDAを審査して承認する。最初のANDA承認取得者には180日間の独占期間が付与される。
ANDA申請者の通知(Notice Letter)後、30ヶ月特許権者が訴訟を提起しない場合、ANDA申請者は、先発側に対して、オレンジブックに掲載された特許が無効である、またはANDA申請対象の医薬品がオレンジブックに掲載された特許を侵害しないことについて、確認訴訟を提起することができる(21 U.S.C. §355(j)(5)(C)(i))。
特許権者は、ANDA訴訟を提起しない場合(つまりパテントリンケージとは独立に)、オレンジブックに掲載されている特許に基づいて侵害訴訟を提起することができる。なお、言うまでもなく、パテントリンケージとは独立に、オレンジブック非掲載の特許に基づいて訴訟提起が可能である。
そのため確認訴訟は、ANDA訴訟が提起されない場合に、別途訴訟を起こされることを危惧するANDA申請者にとって有効である。ただし、確認訴訟が提起されても、ANDA承認手続きは中断されない。
確認訴訟提起の要件として、ANDA申請者は、申請書に含まれる秘密情報へのアクセスを許可する書面を提出しなければならない(21 U.S.C. §355(j)(5)(C)(i)(I)(cc))。
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