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先発対後発両サイドの特許戦略に必要不可欠な知識や最近の話題をお届けする「医薬品特許戦略ブログ」を配信します。製薬関連企業の皆様はもちろん、アカデミアや投資家の皆様にも参考にしていただけるような、実践的なポイントをお届けしたいと思います。
台湾は2019年にパテントリンケージ制度を導入した。
(1)制度概要
台湾は,TPP及びTIFA(貿易投資枠組協定)への加盟を目指して,2019年8月20日より施行した。パテントリンケージ制度は,2017年12月29日に制定された改正薬事法により規定されている。ハッチ・ワックスマン法をもとにした制度であり,特許情報の登録,パラグラフIV声明,後発医薬品の検査登録許可証の一時発行停止,後発医薬品の独占販売権から構成される。
(2)先発特許情報の登録[i]
先発メーカーは,先発医薬品の承認日の翌日から45日以内に特許情報登録システム(https://plls.fda.gov.tw/)に関連特許を登録(収録)しなければならない。承認の時点で特許が未発行(審査中)の場合は,特許の公告日から45日以内に特許を登録する必要がある。この期間内に特許を登録しない場合,パテントリンケージの適用を受けることができない。
登録の対象となる発明は,物質,組成物又は製剤,及び医薬用途であり,製造方法は含まれない。特許情報に変更(延長登録,訂正,無効,権利消滅)があった場合は指定期間内に届け出る必要がある。
特許情報登録システムに登録された特許について,第三者が,登録情報が事実と一致していないと考える場合,薬事当局(台湾FDA,TFDA)に対して通知をすることができる。TFDAは第三者からの通知を受領した場合,その翌日から20日以内に先発メーカーに通知を転送する。通知を受領した先発メーカーは,受領日翌日から45日以内に書面による回答をする必要があり,合わせて特許情報の変更または削除を行う。
後発医薬品の申請者は,申請の際に,特許情報登録システムに登録された先発特許との関係についてパラグラフI~IVのいずれかの声明を提出する必要がある。パラグラフIは,いかなる特許情報も登録されていない,パラグラフIIは,特許権はすでに消滅した,パラグラフIIIは,特許権が消滅した後,初めてTFDAによって医薬品許可証が発行される,パラグラフI~IVは,特許権は取り消されるべきものであるか,又は後発医薬品は特許権を侵害していない,である。パラグラフIV声明により申請(パラグラフIV申請)した場合,申請者は,TFDAから申請資料に不備が無いとの通知を受け取った日から20日以内に先発サイド(新薬承認保持者,特許権者,専用実施権者)及びTFDAに通知しなければならない。
後発品申請者から,パラグラフIV申請に伴う通知を受けた特許権者又は専用実施権者は,通知を受け取った日の翌日から45日以内に特許権侵害訴訟を提起することができる。特許権者又は専用実施権者は,訴訟提起した場合は,訴訟提起の翌日から20日以内に訴状のコピーと共に訴訟提起の旨をTFDAに通知する必要がある。TFDAは通知を受領したのち12ヶ月間は後発品の承認を停止する。ただし,期限までに訴訟が提起されない場合,非侵害の判決が出された場合,特許が取り消された場合,和解成立,特許権消滅等の事情があれば,後発品を承認する。
パラグラフIV申請のうち,申請資料が全て揃った日が最も早い申請者は,承認された後発品について12ヶ月の独占販売期間を取得する。TFDAは,12ヶ月の期間が満了するまで,他の後発医薬品の承認を行うことができない。独占販売期間は,後発医薬品を実際に販売した日が起算日とされる。申請資料が全て揃った日が最も早い申請者が複数いる場合は,共同で独占販売権を取得し,独占販売期間の初日は最初の後発医薬品が販売された日となる。
[i] 薬事法第48条の3~8
[ii] パラグラフIV声明(薬事法第48条の9~12)
[iii] 薬事法第48条の13~15
[iv] 薬事法第48条の16~17
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