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医薬品特許戦略ブログ 第6回:カナダのパテントリンケージ

先発対後発両サイドの特許戦略に必要不可欠な知識や最近の話題をお届けする「医薬品特許戦略ブログ」を配信します。製薬関連企業の皆様はもちろん、アカデミアや投資家の皆様にも参考にしていただけるような、実践的なポイントをお届けしたいと思います。

今回は、「カナダのパテントリンケージ」について

カナダは1993年に制度を導入した。

(1)制度概要

 カナダでは,北米自由貿易協定(NAFTA)の規定により1993年にPatented Medicines Notice of Compliance(PMNOC)Regulationsを導入した。その後いくつかの改正を経て2017年9月に,EU・カナダ貿易協定に伴い大幅に改正された。この改正と同時期に,特許期間延長制度(CSP)も導入された。なお,カナダにおける延長期間は最大2年である。カナダ最高裁によると,後発品が,リストに掲載された特許を侵害しないと確認されるまで,後発品申請にNOCを発行して承認(MA:Marketing Approval)を遅延させて特許権侵害を防止することが制度趣旨であるとのことである。

(2)先発特許情報の登録

 先発メーカーは,特許リストに特許を収録することが必要である。特許リストの収録対象となるのは,主成分(API),組成物,剤形,及び用途に関する特許であり,バイオ医薬品に関する特許も収録の対象となる。

(3)後発医薬品の申請と先発への通知

 後発品申請者は,申請の際に先発サイドにその旨の通知をすることを要する。

(4)後発医薬品の承認・販売停止

 先発への通知から45日以内に,特許権者は連邦裁判所に対して,薬事承認を禁止する命令(Prohibition order)を要求することができる。要求があった場合24か月間承認プロセスが中止される。連邦裁判所において,先発特許が無効とされるか,特許非侵害の判決により後発品が承認される。

(5)後発医薬品の独占販売権

 後発品申請者が承認を得た場合でも,独占販売権は付与されない。

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