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先発対後発両サイドの特許戦略に必要不可欠な知識や最近の話題をお届けする「医薬品特許戦略ブログ」を配信します。製薬関連企業の皆様はもちろん、アカデミアや投資家の皆様にも参考にしていただけるような、実践的なポイントをお届けしたいと思います。
特許権侵害訴訟(以下「侵害訴訟」)とは、特許権が侵害されていること又は侵害されるおそれがある場合、特許権者あるいは専用実施権者が、特許権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対して、その侵害行為の中止(差止)や、侵害により被った損害を賠償すること(損害賠償)を求める訴訟をいう。
なお、特許権侵害とは、権原なき第三者が、業として特許発明の実施をすること (特許法第68条、同2条3項)をいう。訴訟では、原告が被告に対して、差止請求や損害賠償請求を行い、これに対して被告は、否認や抗弁を行って対抗する。抗弁として代表的なものに先使用権の主張が挙げられる。さらに被告は、原告の特許の有効性について争う。明らかに無効である特許権を主張することは権利の濫用にあたり許されないからである(特許法104条の3)。なお、特許の有効性(無効論)は、侵害訴訟で争えるほか、これとは別に、または並行して特許庁で特許無効審判により争うことができる。
侵害訴訟では、まず特許侵害の有無(充足論)と無効論について審理され、侵害が認められると損害論に入る。差止請求訴訟では、充足論と無効論のみ審理され判決へと進む。損害額の算定は、特許法102条に基づいて行われる。これまで先発対後発医薬品の訴訟で、損害が認められたケースは多くない。
特許権侵害訴訟は、民事訴訟であり、まず東京地裁または大阪地裁に提訴する。地裁判決に不服の場合は知財高裁への控訴、さらに最高裁への上告が可能である。
侵害訴訟(本案訴訟)とは別に、特許権が侵害されていること又は侵害されるおそれがある場合、民事保全法の仮処分の申立(民事保全法23条2項)を行うこともできる。特許権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるため差止めを必要とする場合に、本案訴訟の判決を得るまでの仮の救済として利用される。ただし、特許侵害に基づいて仮処分の申立を行う場合、特許が無効になると被保全権利(特許権)が存在しなくなるので、仮処分の決定にあたって特許の有効性については慎重に判断されるようである。
また、本案訴訟が原則として公開で審理されるのに対し、仮処分の申立の審理は原則として非公開で審理される。侵害の立証の程度については、本案訴訟では「証明」することが必要なのに対し、仮処分では「疎明」で足りるとされている。
先発対後発医薬品の係争においては、本案訴訟と並行して仮処分の申立が行われることは多いが、本訴の第一審の判決より前に仮処分の決定が出されるケースは多くない。
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